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執筆時間と作品の出来映え

時間をかければ良い作品が書ける…わけではない

ノルマを課して書くことについて】の中で僕は《修行中の書き手がすべきことは、効率的に作品を量産する訓練よりも、時間を充分にかけて作品の質を高めること》と記したが、ちょっと違ったニュアンスで受け取られかねないと気がついたので、誤解がないように少し補足しておくことにした。

筆が進まなくなっときに、無理矢理書き進める量産訓練をしていたのでは、作品の質を下げることになりかねない。そんな時は立ち止まって執筆の障害になっている原因を見極め解決してから書き進めるべきだ──という意図で書いた部分だ。つまづくたびに立ち止まって考えることは、作品の本質を見極める分析力を養う上で必要だと僕は考えている。《時間を充分にかけて作品の質を高める》というのは、取り組んでいる作品の執筆の障害になっている問題の把握や解決策の模索には時間がかかる──そうした時間を充分ついやすべきだ、という意味で記したものだ。
《時間をかけた作品は良い作品になる》という意味でも《時間をかけずに書いた作品は質が低い》という意味でもない。

個別の作品の質と執筆に費やした時間の関係で言えば、《時間がかからずに書けた作品の方が質が高い》傾向にある。これはつまり、《執筆は抵抗なくスムーズに筆が進んだ》ということであり、作品に不備・障害がなかったことを意味する。逆に何度も筆が止まり完成までに時間を要した作品は《修正を要する問題を多くはらんでいた》あるいは《作品の根幹にかかわる部分で不備があるために滞り、時間がかかってしまった》可能性が高い。
作品の本質を見極め自覚するための分析力を養うには充分に時間をかけるべきだが、これは時間をかけさえすれば良い作品になるということではない。完成度の高い作品は逆にスムーズに(時間をかけずに)描けるものである。


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