人面ガエル
こわい話!?──原稿用紙8枚半の読み切り童話
『人面ガエル』は、小学3〜4年生を読者対象とした《怖い話》のアンソロジー用に書き下ろした作品。当初、どんな《怖い話》にしようかあれこれ考えた。『不老の理由』や『愛しいまぼろし』なども「ゾッとする」──そういう意味では《怖い話》といえなくもないが、小学中級の読者が《怖い話》として期待するものとは違うだろう。オバケ・幽霊・妖怪など、もっとわかりやすいモチーフにした方が受け入れられやすいのではないか。しかし、だかといって、使い古された素材では新鮮味に欠ける……そこでオリジナル感のある妖怪(?)ということで、背中にただれた人の顔を背負った人面ガエルを創作した。主人公と友人が、この奇怪な姿のヒキガエル(?)を見つけ、友人がこれを殺してしまう。そのときに飛び散った体液を浴びて友人の体はただれて、カエルの人面瘡(じんめんそう)が出現する。人面ガエルの〈たたり〉とも〈寄生〉ともいうべき展開は、小学3〜4年生のとってもわかりやすく、怖さが感じられるに違いない。さらに寄生した側とされた側の逆転──人面瘡(カエル面瘡?)に取り込まれ、人面ガエルと化てしまった友人が、そんな姿になっても意識を保っており、主人公に助けを求める……といった結末はインパクトが残せるのではないかと考え、執筆に至った。