チョコといっしょのおるすばん
きえた大はつめい(読み切り童話)
巻貝が描く《幻の地図》(幻想的着想メモ)
人面ガエル
こわい話!?──原稿用紙8枚半の読み切り童話
『人面ガエル』は、小学3〜4年生を読者対象とした《怖い話》のアンソロジー用に書き下ろした作品。当初、どんな《怖い話》にしようかあれこれ考えた。『不老の理由』や『愛しいまぼろし』なども「ゾッとする」──そういう意味では《怖い話》といえなくもないが、小学中級の読者が《怖い話》として期待するものとは違うだろう。オバケ・幽霊・妖怪など、もっとわかりやすいモチーフにした方が受け入れられやすいのではないか。しかし、だかといって、使い古された素材では新鮮味に欠ける……そこでオリジナル感のある妖怪(?)ということで、背中にただれた人の顔を背負った人面ガエルを創作した。主人公と友人が、この奇怪な姿のヒキガエル(?)を見つけ、友人がこれを殺してしまう。そのときに飛び散った体液を浴びて友人の体はただれて、カエルの人面瘡(じんめんそう)が出現する。人面ガエルの〈たたり〉とも〈寄生〉ともいうべき展開は、小学3〜4年生のとってもわかりやすく、怖さが感じられるに違いない。さらに寄生した側とされた側の逆転──人面瘡(カエル面瘡?)に取り込まれ、人面ガエルと化てしまった友人が、そんな姿になっても意識を保っており、主人公に助けを求める……といった結末はインパクトが残せるのではないかと考え、執筆に至った。
カエルの念力
『カエルの念力』は、四百字詰め原稿用紙(20字×20行)にして10枚弱の作品。運動会を中止するために、カエルの念力で雨を降らせると奇妙なハナシをもちかけてきた転校生。怪しげなファンタジー……かと思いきや、ぷちミステリー!?
いつ書いたのか、どんな経緯で着想を得たのかは記憶がサダカではない……。天気をコントロールするという話から、(天気に関係がありそうな?両生類の)カエルを設定したのだろう。登場するのは風変わりなカエルがいいだろうと考え、容姿はツノガエルをイメージして書いたのは覚えている。作品の核となる《どちらに転んでも儲かる賭け》のアイディア自体は、おそらく大して斬新なものではないだろう──そう考えて、イマイチ感のある作品として放置していたのだが、先日たまたま読み返してみたところ、これはこれで、ちょっと変わった味わいがあるのではないか……という気がしてきて、投稿してみることにした。
おじいちゃんのしんぱいごと
雨の日の通信(読み切り童話)
四百字詰め原稿用紙(20字×20行)で7枚半ほど。初期の小品だが、わりと気に入っているものの1つ。日常の片隅にふっと湧いた、誰も気づかないような淡いファンタジー&不思議を介しての出会い……そんな話を描いてみたかった。
今では誰もが携帯電話で、いつでもどこでも《つながる》ことができるが……まだ携帯電話など無かった頃の作品。もちろんインターネットもなく、ラジオの深夜放送ブームの終焉の頃(?)──当時聞いていた東海ラジオの深夜番組〈ミッドナイト東海〉にDJ・兵藤ゆきさんが、リスナーから送られてくる童話をラジオドラマ仕立てで朗読してくれるコーナーがあって、ここで採用された思い出がある。オンエアされた童話は4つあるが、『雨の日の通信』(1982.10.16 OA)は年間リスナー投票で第2位に選ばれたこともあった。多くの人に聞いてもらえたこと、この作品に好感を持ってくれた人がいたこと、そして兵藤ゆきさんの七色ボイスでラジオドラマにしていただいたことなど、色々と感慨深い作品。